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求人広告21%減の背景とは?中小企業が今すべき「採用戦略の見直し」


目次

1. 求人広告21%減が意味すること

2023年11月、全国求人情報協会の発表によると、求人広告件数が前年同月比で21%減少しました。コロナ後に拡大していた採用市場に、明確にブレーキがかかった形です。
さらに同協会の集計では、職種別の増減も示されており、職種によっては大きく落ち込んでいる点が特徴的です。たとえば事務や一部専門職で大幅な減少が見られます。
こうした数字は「採用が落ち着いた」という単純な話ではなく、採用のやり方そのものが変わりつつあることを示しています。
出典:全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」Source


2. 背景① 採用過熱の終息と「人件費の壁」

コロナ禍後の反動で、いっとき採用市場は過熱しました。求人広告も増え、「出せば一定数は集まる」状態がありました。

しかし最近は、求人広告を出しても応募が集まりにくく、仮に応募が来ても採用決定までつながらないケースが増えています。結果として、中小企業では次のような“壁”にぶつかりやすくなります。

  • 賃上げ圧力で、人件費がこれ以上上げられない
  • 採用コスト(広告費)が上がっているのに、採用人数は増えない
  • 採用できても定着しないと、投資が回収できない

採用は「採った瞬間」に成功するのではなく、定着して戦力化されて初めて成功です。
応募が集まらない・採用単価が合わない状況が続けば、「求人広告をいったん止める」という経営判断が増えるのは自然な流れです。


3. 背景② 求人広告の限界と採用チャネルの多様化

求人広告が減っている背景には、広告以外の採用手段(チャネル)が現実的になってきたこともあります。代表的なものは次のとおりです。

  • ダイレクトリクルーティング(企業が候補者に直接アプローチ)
  • 人材紹介サービス(決定率は高まりやすいが費用設計が重要)
  • リファラル採用(社員紹介)

中小企業にとって重要なのは、「大量に集める」よりも、自社に合う人に、確実に届く導線をつくることです。
求人広告一本足打法では、採用市場の変化に振り回されやすくなります。


4. 背景③ 「とにかく採用」から「戦略的採用」へ

これまでのように「数を打てば当たる」という採用が機能しにくくなった今、求められるのは戦略的採用です。

戦略的採用とは、端的に言えば次を明確にすることです。

  • 誰を採るのか(スキルだけでなく価値観・働き方も含めて)
  • なぜ必要なのか(事業計画や現場課題とつながっているか)
  • 採った後にどう育てるのか(オンボーディングや評価の設計)

また、経験者採用へ寄せる企業も増えていますが、それは裏返すと「未経験者を育てる体制が追いついていない」可能性もあります。
採用難の時代ほど、採用と育成はセットで考える必要があります。


5. 背景④ 「採用しない」判断(業務再設計・自動化)も重要

求人広告の減少が目立つ職種として、事務職などが挙げられます。全国求人情報協会の職種別集計でも、事務の大幅減が示されています。
出典:全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」Source

背景には、AIや自動化、業務効率化により「そもそも人を増やさずに回す」方向へ舵を切る企業が増えていることがあります。

中小企業こそ重要なのは、次の問いです。
「採用すべきか? それとも業務を再構築すべきか?」

採用は万能薬ではありません。人手不足の時代だからこそ、**採用の前に業務の棚卸し(ムダ・属人化・再設計)**を行うことが、長期的に効いてきます。


6. 人手不足は終わっていない──だから今が見直しの好機

求人件数が減っていても、人手不足が解消されたわけではありません。若年層人口の減少など、労働供給そのものが縮小しているため、長期的には「採用しにくい時代」が続く前提で考える必要があります。

つまり、求人広告が減っている今こそ、
採用のやり方を見直し、勝てる設計に作り替えるタイミングです。


7. 中小企業が今すぐ取り組むべき採用戦略5選(チェックリスト)

ここからは、実務としてすぐ着手できるポイントを5つに整理します。

① 求める人物像の明確化(スキル・価値観・働き方)

「経験年数」よりも、「自社で活躍する人の特徴」を言語化します。
例:スピード重視/丁寧さ重視、チーム志向、顧客対応のスタンスなど。

② 求人媒体の見直し(広告だけに頼らない)

媒体は「出す」ではなく「選ぶ」。職種・エリア・年齢層との相性を踏まえ、PDCAを回します。

③ 社員紹介制度(リファラル)の導入・強化

紹介制度は“お願い”で終わらせず、ルール・手当・運用を制度化することで回り始めます。

④ 採用後の定着施策(オンボーディング/メンタリング)

採用難の時代は「採る」より「辞めさせない」。
入社後1か月の育成計画、面談、相談窓口の設置は効果が出やすい施策です。

⑤ 必要に応じて社労士など外部専門家に相談

採用の課題は、求人票だけでなく、労働条件・就業規則・評価制度・試用期間運用など“周辺設計”に原因があることも少なくありません。


8. 社会保険労務士の視点:採用~定着を“仕組み化”する

私たち社労士は「採用して終わり」ではなく、「職場に定着して活躍する」までを支援します。

採用の現場では、法律面だけでなく、雇用のミスマッチ、労使トラブルの芽、定着率の低下など、さまざまな課題が同時に起こりやすくなっています。

だからこそ、労務の専門家として、企業の「持続可能な人材確保」を仕組みとして整えることが、これからの採用に直結します。


9. まとめ:求人広告を減らす前に、採用の設計図を描こう

求人広告21%減は、採用市場が変化しているサインです。
これから中小企業が取るべき道は、これまでのやり方に固執することではなく、採用の本質を見直すことにあります。

  • どのように人を集めるか
  • どうすれば人が定着し、力を発揮してくれるか

この両方を同時に設計できた企業が、採用難の時代を勝ち抜いていきます。

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