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2023年11月、全国求人情報協会の発表によると、求人広告件数が前年同月比で21%減少しました。コロナ後に拡大していた採用市場に、明確にブレーキがかかった形です。
さらに同協会の集計では、職種別の増減も示されており、職種によっては大きく落ち込んでいる点が特徴的です。たとえば事務や一部専門職で大幅な減少が見られます。
こうした数字は「採用が落ち着いた」という単純な話ではなく、採用のやり方そのものが変わりつつあることを示しています。
出典:全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」Source
コロナ禍後の反動で、いっとき採用市場は過熱しました。求人広告も増え、「出せば一定数は集まる」状態がありました。
しかし最近は、求人広告を出しても応募が集まりにくく、仮に応募が来ても採用決定までつながらないケースが増えています。結果として、中小企業では次のような“壁”にぶつかりやすくなります。
採用は「採った瞬間」に成功するのではなく、定着して戦力化されて初めて成功です。
応募が集まらない・採用単価が合わない状況が続けば、「求人広告をいったん止める」という経営判断が増えるのは自然な流れです。
求人広告が減っている背景には、広告以外の採用手段(チャネル)が現実的になってきたこともあります。代表的なものは次のとおりです。
中小企業にとって重要なのは、「大量に集める」よりも、自社に合う人に、確実に届く導線をつくることです。
求人広告一本足打法では、採用市場の変化に振り回されやすくなります。
これまでのように「数を打てば当たる」という採用が機能しにくくなった今、求められるのは戦略的採用です。
戦略的採用とは、端的に言えば次を明確にすることです。
また、経験者採用へ寄せる企業も増えていますが、それは裏返すと「未経験者を育てる体制が追いついていない」可能性もあります。
採用難の時代ほど、採用と育成はセットで考える必要があります。
求人広告の減少が目立つ職種として、事務職などが挙げられます。全国求人情報協会の職種別集計でも、事務の大幅減が示されています。
出典:全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」Source
背景には、AIや自動化、業務効率化により「そもそも人を増やさずに回す」方向へ舵を切る企業が増えていることがあります。
中小企業こそ重要なのは、次の問いです。
「採用すべきか? それとも業務を再構築すべきか?」
採用は万能薬ではありません。人手不足の時代だからこそ、**採用の前に業務の棚卸し(ムダ・属人化・再設計)**を行うことが、長期的に効いてきます。
求人件数が減っていても、人手不足が解消されたわけではありません。若年層人口の減少など、労働供給そのものが縮小しているため、長期的には「採用しにくい時代」が続く前提で考える必要があります。
つまり、求人広告が減っている今こそ、
採用のやり方を見直し、勝てる設計に作り替えるタイミングです。
ここからは、実務としてすぐ着手できるポイントを5つに整理します。
「経験年数」よりも、「自社で活躍する人の特徴」を言語化します。
例:スピード重視/丁寧さ重視、チーム志向、顧客対応のスタンスなど。
媒体は「出す」ではなく「選ぶ」。職種・エリア・年齢層との相性を踏まえ、PDCAを回します。
紹介制度は“お願い”で終わらせず、ルール・手当・運用を制度化することで回り始めます。
採用難の時代は「採る」より「辞めさせない」。
入社後1か月の育成計画、面談、相談窓口の設置は効果が出やすい施策です。
採用の課題は、求人票だけでなく、労働条件・就業規則・評価制度・試用期間運用など“周辺設計”に原因があることも少なくありません。
私たち社労士は「採用して終わり」ではなく、「職場に定着して活躍する」までを支援します。
採用の現場では、法律面だけでなく、雇用のミスマッチ、労使トラブルの芽、定着率の低下など、さまざまな課題が同時に起こりやすくなっています。
だからこそ、労務の専門家として、企業の「持続可能な人材確保」を仕組みとして整えることが、これからの採用に直結します。
求人広告21%減は、採用市場が変化しているサインです。
これから中小企業が取るべき道は、これまでのやり方に固執することではなく、採用の本質を見直すことにあります。
この両方を同時に設計できた企業が、採用難の時代を勝ち抜いていきます。