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2024年、日本建設業連合会が10年ぶりに「長期ビジョン」を策定しました。
2040年~2050年にかけて労働人口が大きく減少すると見込まれる中、建設現場の担い手確保は待ったなしの課題です。
そこで掲げられたのが、「全産業平均を圧倒的に上回る労働条件の確保」。
これは単なるスローガンではなく、業界の構造そのものを変えようとする強い意思表示といえます。
特に注目されているのが、「40代技能労働者の平均年収を1000万円超へ」という目標です。
現在は500万円弱とされており、実現には今後10年間、毎年平均7%以上の賃上げが必要と試算されています。
経営者・人事担当者にとっては、非常にハードルの高い数字です。
しかし裏を返せば、それほどまでに処遇改善をしなければ人材が確保できない時代に入った、ということでもあります。
働き方の見直しも大きな柱です。
「土日一斉閉所運動」から一歩進み、「土日祝日一斉閉所運動」へ。
さらに、猛暑日における屋外作業禁止の法制化も視野に入れています。
夏は労働時間を短くし、他の季節で調整する柔軟な制度の導入も検討されています。
建設業界が本気で労働環境改善に取り組もうとしていることがうかがえます。
休日を増やせば、出来高制では収入が減る可能性があります。
その対策として、一人親方の社員化や月給制への移行が提唱されています。
雇用関係を明確にし、安定した収入を確保する。
これは技能者の安心感につながる一方で、企業側には社会保険や労務管理の体制強化が求められます。
技能の「見える化」を進めるため、CCUSのレベル評価に応じた賃金支払いを促進。
さらに、レベル別の退職金掛金制度を整備し、将来的には2000万円規模の退職金確保を目指すとしています。
賃金・評価・退職金を一体で設計する流れは、まさに人事制度の再構築を意味します。
人材育成面では、働きながら週末に集中して職業訓練を行う仕組みを整備。
3年程度で必要な技能を習得できる制度を目指しています。
育成の道筋が明確になることで、若手の定着率向上にもつながるでしょう。
建設業は地域や時期によって繁閑差が大きい業界です。
その現実を踏まえ、一定条件下での労働者派遣解禁も提案されています。
ただし、これは労働者保護とのバランスが重要であり、制度設計次第では労務リスクも高まります。
女性や外国人材の活用に加え、高齢者を指導員として登録する制度や、パートタイム労働者の導入拡大も検討されています。
「経験の継承」と「多様な働き方」の両立。
これが今後の建設業の持続可能性を左右するポイントになるでしょう。
これらの改革が進めば、企業の労務管理は確実に高度化します。
・雇用契約の再整理
・就業規則の全面見直し
・評価制度と賃金テーブルの連動
・社会保険・労働保険の適正管理
制度だけを導入しても、運用が伴わなければトラブルの原因になります。
今後は「攻めの人事」と同時に、「守りの労務」も重要です。
まずは、自社が社員化や月給制にどう向き合うのか方針を明確にすること。
そして、評価と報酬がきちんと連動しているかを点検してください。
CCUSの活用や就業規則の整備は、早めに専門家と連携して進めることが得策です。
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今後の建設業界は、大きな転換期に入ります。
賃金・働き方・人材育成すべてが再設計される時代です。
「人材が集まる会社」になるのか、
「人が定着しない会社」になるのか。
その分かれ道は、今の経営判断にかかっているのかもしれません。